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劣等感を抱えた少年時代。フリースタイルフットボールが世界を変えた。

YOSHIDA IBUKI 劣等感を抱えた少年時代。フリースタイルフットボールが世界を変えた。
2017/ 09/20

劣等感を抱えた少年時代。フリースタイルフットボールが世界を変えた。

吉田 伊吹

劣等感を抱えた少年時代。フリースタイルフットボールが世界を変えた。

サッカーボールを操るリフティング。サッカー少年なら、誰もが挑戦したことのある技の一つであろう。そんなリフティングの美しさと技を競うのが、フリースタイルフットボール。近年、SNSなどの普及で人気が急上昇しているスポーツの一つである。スピード感のあるモーションから繰り出される技の一つ一つは、ダイナミックで繊細。観客はプレイヤーが繰り広げるボールとのダンスに熱狂する。そんな中、ひときわ注目を集める男がいる。若きフリースタイルフットボーラー吉田伊吹だ。様々な大会で好成績を収め、日本のみならず世界でその名を知られる彼のフリースタイルフットボールとの出会いやスタイルについて話を聞いた。

吉田 伊吹(よしだ いぶき)/ フリースタイルフットボーラー
1996年7月4日生まれ、兵庫県出身。10代の頃からフリースタイルフットボーラーとしての才能を発揮し、現在は学業とプロ活動を両立しながら、全国各地でパフォーマンス活動や普及活動を行っている。2014年にはFIFAブラジルW杯にて選手入場セレモニーの騎手を務め、2015年にはG-SHOCK主催の大会で日本一に輝いた他、チェコで開催された世界大会にも出場するなど、フリースタイルフットボール界で、要注目のプレイヤーだ。

YouTubeで見つけたフリースタイルフットボールのタグがきっかけ

まず、フリースタイルに出会ったきっかけを教えてください。

もともと中学から高校1年の途中までサッカーをやっていたんですよ。ただ、中学の頃のチームがすごく特殊なチームで、ドリブルやリフティングなどの個人のテクニックに特化したチームだったんです。それこそ、ランニングコースをドリブルとリフティングをしながら走って一日が終わるというような感じだったんです。そんなチームでやっていたのに、高校で入ったチームが普通の体育会系みたいなチームだったので、なんか違うってなってしまったんですよ。ちょうどその時に怪我も重なってしまったので、チームを辞めてしまいました。

でも、サッカー自体を嫌いになったわけじゃなかったので、一人でボールを蹴ることは続けていたんです。そしたら中学がそういうチームだったこともあって、自然とリフティングやドリブルの練習ばかりするようになっていて。YouTube とかでリフティングの技を調べ始めたんですよね。そしたら、フリースタイルフットボールというタグを見つけて、そのタグをたどって、物まねをし始めたというところがスタートですね。

最初から上手く出来たんですか?

元からリフティングをたくさんやっていたのもあって、教えてもらった技の飲み込みがすごく早かったんです。

ある時、プロの先輩が、結構難しめの技を一つ教えてくれたんですよ。「ちょっと挑戦してみませんか」と言われ、やってみたら2回目で成功したんです。それで周りが「えっ!」「マジで?」みたいな雰囲気になって。自分自身も「え?できた!?」でびっくりして。その技ができたことでレベルアップしたような気がしてものすごく嬉しくて。そのうれしさで完全にもう、このカルチャーにはまったというか。そこからはひたすらその嬉しさを求めて、「もっともっといろんな技を!」という感じで、気づいたら何年も経ってた感じです。

〈PV撮影時の一枚〉

周りと比べて上達のスピードは速かったんですか?

はじめて1ヶ月の頃に、その難しめの技ができてウォ~と舞い上がって、3ヶ月 4ヶ月ぐらいたった後に、一度動画を撮ってYouTube にアップしたんですよ。そしたら「日本のフリースタイル界にメッチャ成長早い若くて新しい子が出てきた」みたいに言われて。「3、4ヶ月でこれはおかしい」って周りにも言われて、そこで、自分が周りよりちょっと成長が早いということを知ったんですよ。それで、1年ぐらいやればもっと驚かせられるんじゃないかと。

明確なゴールが見えたら、あとは逆算。そうすればゴールにたどり着ける。

〈PV撮影時の一枚〉

その当時、何か目標はありましたか?

フリースタイルを始めてから、4年目まではしっかり1年ごとの目標を立ててました。1年目は、1年経った時に、自分の技を見て日本中の全員に驚いてもらえるような動画を出す。2年目は、世界で有名なフリースタイルの方のように「少しでも知ってもらえるようなプレーヤーになる。」 実際に2年経ってみると、国内や海外の人達からも少しづつ見てもらえるようになって。その時に自分の2年間を振り返って、「2年でこれくらいのスキルアップできるんだな」と。じゃあ、さらに2年後は?という風に考えたら、最初の2年間よりももっと速いスピードで成長できるという自信が持てました。そこで3年目の目標は何でもいいからとにかくタイトルを取る。実際にタイトルは3つぐらい取りましたね。

目標設定をする時って、具体的に紙に書いて部屋に貼ったりするんですか?

紙には書いてないですね。もう自分の心の中で決めるだけです。僕ね、「タイトルを取る」って決めた年に出た最初の4つの大会でボロボロに負けて。とにかく、負けて負けて負けて負けて。でも、心の中に目標があるから諦めなかった。諦めないで挑戦していたら、その結果やっと勝てて。その後もいくつか勝つ事が出来て、国内で8人が招待されたGショック主催の「G-STYLE FOOTBALL」という大会があったんですけど、その大会でもまさかの優勝することができました。

目標を立てる時、「達成できなかったらどうしよう?」とは思わないんですか?

目標を達成できなかったらどう思うかは、今のところは達成してきているんでわからないんです。でも、そもそも目標をきっちり立てることによって、しっかりそこに向かう準備ができると思うんですよね。アバウトに「すごくなる」というのではなくて、「この日までにこうなる」という具体的なゴールを設定しちゃえば、あとは逆算して自分が何をやっていけばいいかを考えればいい。そうすれば、必然とそのゴールにはたどり着けると思ってて。なので、目標は立てるようにしていますね。

目標を立てる時は、「この技をやりたい」みたいな細かな事まで決めていくんですか?

そうですね。例えば、日本一になるには今の自分に何が足りないかを考えていくんですよ。もしくは、逆に今の自分に何をプラスすれば日本一なれるか?というところを考える。その上で、自分なりにこうしたらいいかなと具体的に試行を続けていく。そうやって練習していけば、フリースタイルはもちろん上手くなれますし、人としても何かしら成長できると思うんです。そんな風に365回成長を繰り返すと考えれば、1年後の段階が見えるし、そうすれば、あとは自分次第かなと考えますね。

全てを見通し、考える力が必要

試合の前は戦略を練ったりするんですか?

構成は、一応考えています。例えば30秒3ターンある中で、どんなことをやっていくか、流れや技はある程度決めてたりします。人によって30秒ガチガチで決めてる人もいれば、ある程度決めててその場の即興でやる人と分かれるんですけど。僕はある程度決めてやるタイプですね。やっぱり同じ技を繰り返してると、お客さんも飽きちゃうんで、かぶらないようにとか、同じ技使うにしても、少し構成を変えて違う見え方をするようにとか、そういうことを考えるようにしています。

色々考えるタイプなんですね。

僕は、やっぱり考える力って必要だと思うんですよ。全体的に共通して言えるんですけど、戦略を考えることもそうだし、もっと根本的なことを言えば、「どうやったら上手くなれるのか」「今自分が上手くなるために何をしたらいいのか」を考える。上手くなったら、「どうきれいにまとめていくのか」「そうやって自分の表現したい形にまとめていくのか」「自分の思い描く理想のものって何なんだろか」って考える。ほんとにいろんなことを日常的に考えていますね。

そうなると、ボールを触ってない時間が大事?

そうですね、大事だと思います。ボールを触ってる時間よりも考えてる時間が多いです。練習に行く時も「今日の練習はこうしよう」と考えてからやってます。

実際の練習時間はどれくらいですか?

最近は大会前なんで、6~7時間とかですね。ぶっ通しでやるんではなくて、例えば2時間を3回、3時間を2回みたいな感じです。ぶっ通しで練習するよりは、間に休憩挟んだほうが効率もいいです。体はもちろんそれで回復させられますし、体だけじゃなくて頭も集中力も回復する。やっぱりぶっ通しでやってると限界があるので。

でも、たまにあえて、何も考えずにがむしゃらにやるという時間も作るようにはしてますよ。そういう時間も必要かなと。

休みはどう過ごしているんですか?

1日全くボールを蹴らないということは、基本的にあんまりないですね。
例えば今日どうしても体が動かないという日があれば、1時間だけ軽くボールを触るとか。そういう日は練習というよりは、ボールと遊んでる感じですね。いろんなところでリフティングしながら、リラックスして、ボールと一緒に遊んでる感じです。あと、自分の部屋にはボールが転がってるので、座ってる時に何気なくボールを触ったりとかしていますね。

ボール一つで、自分の世界を変えられる

子供時代はどんな子だったんですか?

小1より小さい頃は外で遊んでる子。年中半袖半ズボンで、外で遊んでるみたいな。小5小6中学あたりはものすごい変わってて、性格は今とほんとに正反対で。積極性がない、興味のあるものもない、わかりやすくいうと教室の休み時間にはしゃいでるタイプじゃなくて、座って何かしてるようなタイプだったんです。だから、フリースタイルをはじめて、自分でも180度変わったと断言できるくらいに、人間性というか性格は変わりました。

一つのことのめり込んでいった結果なんでしょうか?

やっぱり他の人たちを見てても思うんですけれど…本当に極端な例を出すと、イチローさんとかそうだと思うんですけど、何かを追っかけることによって勝手にそこに向かうための人格が形成されていくというか。何かを突き詰めていっている人って、似たような考え方をしている人が多くて。

自分のどんなところが変化したなと実感されていましたか?

一番変わったのは、ものすごくポジティブになったことじゃないかなと思います。基本的に全部ポジティブに考えるようになりましたね。

劣等感を感じながら生きてた自分が、フリースタイルをやり始めたことによって、初めてちょっと目立ったんですよ。周りから「すごいね。めっちゃ上手くなってるやん」「俺に教えてよ」みたいな感じで言ってもらえる。フリースタイルの人からも「メッチャ上手くなるの速いね」と。それが、周りからちょっと認められた感じがしたというか。最初は地味なキャラだった僕が、どんどん変わっていって、自然と自信がついていったかなと思います。

劣等感を抱えた時代があったからこそ、こんだけのめり込めたみたいなところがあると?

あったと思います。初めて自分で「これだ!」と思えた。見つけたというよりも、偶然なんですけど、必然的に出会ったというか。部活を辞めてから、ものすごく自然な流れで始めたので、もう運命に仕向けられてたのかなという気がしました。これに出会うために生きてたんじゃないかなというふうに。

僕から見たフリースタイルフットボールは、ボール一つで、ほんとに自分の世界を変えられる。ボール1つで、自分の中の世界までガラッと変わる。僕は、フリースタイルを始めてから、本当に自分自身が変わりました。ただボールを蹴ってるというだけの理由で、日本だけでなく世界中のいろんな国に友達ができて、それこそ海外でボールを蹴っている時に、相手がフリースタイラーなら、「イブキさんですね」と声かけてもらえたり。

「これだ!」というものに出会えたからこそ、世界中に仲間が作れて。1つのボールを通じて、友だちはもちろんなんですけど、自分を知らない人に対しても、日本世界を問わずに、自分の思いのようなものを表現できる、僕なりの手段かなと思っています。

〈SuperBall 2016 BIG FINALでの一枚〉

文:MOVE編集部

後編はこちら:リフティングじゃないの?見せる競技、フリースタイルフットボールってなに?

PROFILE

選手プロフィール
吉田 伊吹

吉田 伊吹

1996年7月4日生まれ、兵庫県出身。10代の頃からフリースタイルフットボーラーとしての才能を発揮し、現在は学業とプロ活動を両立しながら、全国各地でパフォーマンス活動や普及活動を行っている。2014年にはFIFAブラジルW杯にて選手入場セレモニーの騎手を務め、2015年にはG-SHOCK主催の大会で日本一に輝いた他、チェコで開催された世界大会にも出場など、フリースタイルフットボール界で、要注目のプレイヤーだ。

獲得タイトル
F4-2014 四国大会 準優勝
GO&FUNフリースタイル大会 優勝
F4-2015 東海大会 優勝
G-STYLE FOOTBALL 2015 優勝
FreestyleFes2015 ベスト4
Japan Freestyle Football Championships2016 ベスト8
F4-2016 関西大会 優勝
選手公式ウェブサイト 選手公式SNSアカウント

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選手プロフィール
吉田 伊吹

吉田 伊吹

1996年7月4日生まれ、兵庫県出身。10代の頃からフリースタイルフットボーラーとしての才能を発揮し、現在は学業とプロ活動を両立しながら、全国各地でパフォーマンス活動や普及活動を行っている。2014年にはFIFAブラジルW杯にて選手入場セレモニーの騎手を務め、2015年にはG-SHOCK主催の大会で日本一に輝いた他、チェコで開催された世界大会にも出場など、フリースタイルフットボール界で、要注目のプレイヤーだ。

獲得タイトル
F4-2014 四国大会 準優勝
GO&FUNフリースタイル大会 優勝
F4-2015 東海大会 優勝
G-STYLE FOOTBALL 2015 優勝
FreestyleFes2015 ベスト4
Japan Freestyle Football Championships2016 ベスト8
F4-2016 関西大会 優勝
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吉田 伊吹

1996年7月4日生まれ、兵庫県出身。10代の頃からフリースタイルフットボーラーとしての才能を発揮し、現在は学業とプロ活動を両立しながら、全国各地でパフォーマンス活動や普及活動を行っている。2014年にはFIFAブラジルW杯にて選手入場セレモニーの騎手を務め、2015年にはG-SHOCK主催の大会で日本一に輝いた他、チェコで開催された世界大会にも出場など、フリースタイルフットボール界で、要注目のプレイヤーだ。

獲得タイトル
F4-2014 四国大会 準優勝
GO&FUNフリースタイル大会 優勝
F4-2015 東海大会 優勝
G-STYLE FOOTBALL 2015 優勝
FreestyleFes2015 ベスト4
Japan Freestyle Football Championships2016 ベスト8
F4-2016 関西大会 優勝
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