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リフティングじゃないの?見せる競技、フリースタイルフットボールってなに?

YOSHIDA IBUKI リフティングじゃないの?見せる競技、フリースタイルフットボールってなに?
2017/ 09/22

リフティングじゃないの?見せる競技、フリースタイルフットボールってなに?

吉田 伊吹

リフティングじゃないの?見せる競技、フリースタイルフットボールってなに?

見せる競技として、急速に広まっているフリースタイルフットボール。
SNSなどで拡散される動画を見ると確かに凄いしかっこいいけど、競技としてはどんな競技なの?採点基準は?また、フリースタイルフットボールの未来は?そんな疑問を日本屈指のフリースタイルフットボーラーである吉田伊吹選手にぶつけてみた。

前編はこちら:劣等感を抱えた少年時代。フリースタイルフットボールが世界を変えた。

吉田 伊吹(よしだ いぶき)/ フリースタイルフットボーラー
1996年7月4日生まれ、兵庫県出身。10代の頃からフリースタイルフットボーラーとしての才能を発揮し、現在は学業とプロ活動を両立しながら、全国各地でパフォーマンス活動や普及活動を行っている。2014年にはFIFAブラジルW杯にて選手入場セレモニーの騎手を務め、2015年にはG-SHOCK主催の大会で日本一に輝いた他、チェコで開催された世界大会にも出場するなど、フリースタイルフットボール界で、要注目のプレイヤーだ。

フリースタイルという言葉通りに自由なのがいいところ

そもそも、フリースタイルフットボールはどんなスポーツなんですか?

正直、その質問が一番難しい。実はサッカー部の子がリフティングの技でやってることとフリースタイルフットボールの技って、一緒なんですよね。やってること自体は同じなんですよ。ただ、一緒だって認識がフリースタイル側にはしっかりあるけど、サッカー部の子はリフティングの技としてやっているだけで、フリースタイルとして捉えてはいない。その境界線がすごくあいまいで、その話はフリースタイルやってる人たちでもよく話題に上がるんですけど、ほんとに何十年もフリースタイルをやっている人たちが討論しても結論が出ないんです。境界線が分からない。

大会での審査の基準はどうなんでしょうか?

大会の審査に関しては難易度や創造性とかが設定されてはいるんですけど、最終的な判断は個人のジャッジに委ねられています。大体の大会ではジャッジする方が3〜5人いて、旗揚げ方式です。

まあ、誰がジャッジするかによって、結果が結構変わってきたりするんですよね。人によって基準が違うっていうのは難しい部分ではあるんですけど、だからこそ、いいなと思う部分もあるんですよね。例えば、フィギアスケートみたいに技をすべて点数化したとすると、もちろんそれで明確にわかりやすくはなるんですけど、本当に細かい部分での表現だったりとか、点数に入らない部分をどう判断するかという事が問題になっていると思うんです。

僕はフリースタイルの良さって、フリースタイルという言葉通りに自由なところにあると思っていて。何をしてもいいし、どんな格好をしてもいいし。それがただの競技じゃなくて、芸術のような要素も併せ持つ演技になっていく。点数化することによって競技性がより強まってしまい、アートの部分は薄れてしまうんじゃないかと思います。平準化できないものや、自分はこのスタイルが好きとか、そういう部分も大切だと僕は思います。

〈SuperBall2016での一枚〉

バックで流れてる音楽って、自分で選んで、事前にその曲で練習してるんですか?

大会に関してはDJが自由に流しているんです。だから、音楽に対して即興でアプローチしにいってます。ダンスバトルとかと一緒で、音ハメなどもしっかりやっていて、知ってる曲知らない曲に関わらず、流れた曲に対して聞きながら、完全に即興でやっていきます。しっかり音を聞きながらやる。音楽をうまく使えているとか、音楽と融合性のある技が出来る人は強いなと思います。トップに立てる人は、そういうこともできる人たちですね。

ボールと一緒に自分をビートに載せるということですよね。

そこがやっぱり難しいんで、僕も最初は全然できなかったです。音楽に対してのリズムの取り方はそれぞれなので、個人のアプローチの仕方には幅がある。僕は音の変わり目の瞬間に大きい技をパンとハメたりすると会場がワッと湧くので、意識しています。でも、そんな芸当ができるかどうかは普段からの慣れというか、どれだけ練習でやれてるかどうかかなと思います。だから練習中も、音楽は常に流してます。

交互で技をやり合うわけだから、先に相手が技をやっている時に音を聴ける後攻が有利?

そこはどう捉えるか。実際慣れちゃえば、流れてる音に対してそんなに考えなくても体が反応するようになります。音に対して自然に反応する。それを思ったのが、1年ぐらい前の大会動画を見た時なんですけど。その時の僕、めっちゃ集中していたせいで全然音を聞けてなくて。「全然音を聴いてなかったから、技だけになっちゃったな」と試合後に思ったんですけど、動画で見返したら、ちゃんと音と技が合ってるんですよ。体が自然にリズムを取るようになってるんだなと思いましたね。

ボールと一緒に動いている感覚になれたら、心の底から楽しい

集中している時の感覚って、どんな感じですか?

集中してる時は、言葉で表現するの難しいんですけど…。集中してて一番いい状態になってる時は、ボールと身体が本当に一体になってる感覚があります。手でボールを抱えてるときって、まず落とさないし、ボールを投げられてもキャッチできる。それと同じ感覚で、全身でボールを触って、ボールを蹴ってるというよりも、ボールと一緒に動いているというイメージになります。操ってるでも、操られてるでもなく、一緒に構成しているという感じ。その瞬間って自分の中ですごい気持ち良くて、ほんとに心の底から楽しいって思いますね。

操っているのでも操られているのでもない?

どちらでもないですね。ボールを操るという感覚ではないです。ほんとに一緒になってるという感じです。ベスト16になった世界大会だと、予選の時に初めての感覚があって。よくいう「ゾーンに入ってる」感覚を始めて覚えました。

説明するのは難しいんですけど。音楽は聞こえてなかったですね。聞こえてないというか。入ってるけど入ってこない。ただ、技の感覚が自然に高まっていたというか。ほんとに意識せずに難しい技がポンポンと全部つながっていきましたね。

正反対の価値観を経験して生まれた、自分だけのスタイル

海外で試合する時の感覚は、日本の時と違いますか?

バトル自体の感覚はそれほど変わらないんですけど、ただ一つ違うのは、日本と世界のフリースタイルの方向性が違います。

日本のフリースタイルは、より芸術性やかっこ良さ、オリジナリティ、音楽との融合性とか、そういった部分に特化して、アートの面を強く持っているというイメージです。
それに対して海外は、どちらかというと競技志向が強い。より難しい技、足を回す系の技が海外の選手にウケがいいんですけど、ほんとに何周も足を回したり、逆立ちをして足の裏にボールを乗せるとか、そういう分かりやすい凄さを求めています。

イメージとしては正反対なんですかね?

思考が違うので、外国の選手たちの感覚からすると、凄いことを求めてるその姿勢がかっこいいのかな。ただ海外の選手に見た目やキャラクターとしてのカッコ良さは、正直僕は感じない。まあ、選手にもよるんですけど、そういう人たちは、動きやすいようにズボンがメッチャ短かったりとか、ファッションにはこだわってないですね。なので、そういう人たちのバトルやショーを長い時間見せられると、正直飽きちゃう部分が僕にはあります。
逆に日本人は全然違う。人ぞれぞれものすごい個性があって、いろんなスタイルがあって、その個性がバトルでぶつかり合うので、見ていて面白い。

そうすると、審査基準が海外は違うじゃないですか。海外出て行った時は海外の基準に合わすんですか?それとも…

僕は審査基準に合わせて、自分のスタイルを変えるということはしないですね。
世界大会に初めて行ったのは、フリースタイルを始めて2年半の時なんです。日本一になるって目標を達成するために、その時トップで戦ってる人たちと経験の差をどうやって埋めたらいいのかと考えて、埋めるのではなくてその人たちがしていない経験をしていこうというふうに思ったんですよ。まだ誰も世界大会には出ていなかったので、行ってみたんです。

実際に大会に出てみると、動画で見てたのと違って。やっぱり体験してみたら違う。経験する前に考えてたみたいに、自分のプレイスタイルをどっちに寄せるとかそういうことじゃなくて、日本のフリースタイルを体験して、海外のも体験して、そこで初めて見えたスタイルがあった。そこからはひたすら、日本とか海外とか審査基準がどうとかじゃなくて、自分のスタイルに向かって突き進んできた感じですね。それが結果よかったかなと思います。自分のスタイルをしっかり持っていることが、大会でも勝ち上がれる要因になってると思いますし。

日本と海外、それぞれの良さを取り入れていくわけですね

僕自身は、海外のプレイヤーが好むようなスキルの面も大事にしてて。スキルを求めつつ、かつカッコよさだったり、オリジナリティーだったり、そういう部分も大事にしてます。結果自分がたどり着いたのが、スキルの上に成り立ってるスタイルというか。最初からスタイル求めるんじゃなくて、まずベースに全体的に高いレベルのスキルがあって、そのスキルをベースに組み立てられスタイルというのが、一番カッコいいんじゃないかなと思うんですよ。それを求めてやっていった結果、まだ優勝争いまではいけてないんですけれども、少しずつ認められて、海外に行っても伊吹のスタイルみたいな感じで見てもらえてると思いますし、国内でもそれで戦えているではないかと思っています。

伊吹さんのスタイルはどんな感じなんですか?

基本的には立ち技がメインになるんですけど。立ち技でも人のやらない動きをやります。例えば、今まで一般的に足を体の前で回すような動き、ボールを挟むとか横で止めるとかいう動きはあったんですけど、僕はボールを横とか後ろで回すのをやり始めたり。僕、足首がすごく柔らかくて、そのおかげで体の横側でちゃんとボールを止めたりできるんですけど、それができる人はそもそも多くないんです。そういう自分の強みを使いながら色々と考えていますね。

今求めているスタイルは、上下左右幅を大きく使って、ダイナミックにかつスタイリッシュな感じ。バク中とかバク転とか、そういった動きは得意ではないんで、実際にやってもあんまり似合わなくて、なら自分に合ったスタイルを作っていこうと試行錯誤してます。

〈吉田伊吹選手プロモーションビデオ〉

プロとしてフリースタイルフットボールの世界を広げたい

今後はどんな活動をしていきたいと考えていますか?

今後はプロのフリースタイルフットボーラーとして、もうこれ1本でやっていこうと思っています。大学に入る段階でそれは心の中で決めていたことなんですよ。大学を卒業してから「今からプロになります」では遅いので、大学4年間しっかり頑張って、「プロでやれてます」と言えるぐらいなっておく。だから、今はプロとしての土台作りをしています。あとは世界チャンピオンになるということですね。それは始めた当初は、夢とか憧れだったんですけど、今は目標としてしっかり置いています。

〈PV撮影時の一枚〉

フリースタイルフットボール自体が、どうなっていってほしいというのはありますか?

もちろんあります。今はまだマイナーなカルチャーですけど、先輩たちがフリースタイルを少しずつ広めようと頑張ってくれていて。プロとしてもしっかり活動してくれているので、大学生や高校生の世代に少しづつ広がってきてるんですよ。僕たちの世代って、これからフリースタイルフットボールを背負っていくと言われているので、同世代の仲間で頑張りたいし、ライバルとして戦友としてシーンを引っ張っていきたいです。

特に自分は、フリースタイルフットボールをストリートのカルチャーとして、もっと多くの人に認知してもらうために頑張っていきたい。自分が活動していって、自分が世界チャンピオンになって、それをきっかけに世界中を回ることで、よりフリースタイルフットボールというのが、夢のある競技になるんじゃないかなと思っています。

今はどうしてもフリースタイルフットボールのプロとして、食べていくのは難しいのが日本の現状。そういう状況も僕たちの世代で変えたいなという心境です。今より夢のあるスポーツにできれば、その下の世代もプロを目指したいと思ってくれる人が出て来るかもしれないですし。これからのフリースタイルフットボールのために一翼を担えたらと思っています。

〈Freestyle Fesにて〉

夢が見つかった時、目標がある時、人は変われるし、強くなる。そんなことを改めて教えてくれた吉田選手。自分を冷静に分析し、目標へ到達するためのステップを設定するクレバーさと、突き進むためのパッション。その二つを併せ持つからこそ、彼の今がある。目指す頂上が彼とは違ったとしても、彼のそのスタイルは私たちの人生の高みを目指す道しるべになってくれるのではないか。自分の未来を信じる力を、彼から改めて教えてもらったように感じた。

文:MOVE編集部

PROFILE

選手プロフィール
吉田 伊吹

吉田 伊吹

1996年7月4日生まれ、兵庫県出身。10代の頃からフリースタイルフットボーラーとしての才能を発揮し、現在は学業とプロ活動を両立しながら、全国各地でパフォーマンス活動や普及活動を行っている。2014年にはFIFAブラジルW杯にて選手入場セレモニーの騎手を務め、2015年にはG-SHOCK主催の大会で日本一に輝いた他、チェコで開催された世界大会にも出場など、フリースタイルフットボール界で、要注目のプレイヤーだ。

獲得タイトル
F4-2014 四国大会 準優勝
GO&FUNフリースタイル大会 優勝
F4-2015 東海大会 優勝
G-STYLE FOOTBALL 2015 優勝
FreestyleFes2015 ベスト4
Japan Freestyle Football Championships2016 ベスト8
F4-2016 関西大会 優勝
選手公式ウェブサイト 選手公式SNSアカウント

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PROFILE

選手プロフィール
吉田 伊吹

吉田 伊吹

1996年7月4日生まれ、兵庫県出身。10代の頃からフリースタイルフットボーラーとしての才能を発揮し、現在は学業とプロ活動を両立しながら、全国各地でパフォーマンス活動や普及活動を行っている。2014年にはFIFAブラジルW杯にて選手入場セレモニーの騎手を務め、2015年にはG-SHOCK主催の大会で日本一に輝いた他、チェコで開催された世界大会にも出場など、フリースタイルフットボール界で、要注目のプレイヤーだ。

獲得タイトル
F4-2014 四国大会 準優勝
GO&FUNフリースタイル大会 優勝
F4-2015 東海大会 優勝
G-STYLE FOOTBALL 2015 優勝
FreestyleFes2015 ベスト4
Japan Freestyle Football Championships2016 ベスト8
F4-2016 関西大会 優勝
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PROFILE

選手プロフィール
吉田 伊吹

吉田 伊吹

1996年7月4日生まれ、兵庫県出身。10代の頃からフリースタイルフットボーラーとしての才能を発揮し、現在は学業とプロ活動を両立しながら、全国各地でパフォーマンス活動や普及活動を行っている。2014年にはFIFAブラジルW杯にて選手入場セレモニーの騎手を務め、2015年にはG-SHOCK主催の大会で日本一に輝いた他、チェコで開催された世界大会にも出場など、フリースタイルフットボール界で、要注目のプレイヤーだ。

獲得タイトル
F4-2014 四国大会 準優勝
GO&FUNフリースタイル大会 優勝
F4-2015 東海大会 優勝
G-STYLE FOOTBALL 2015 優勝
FreestyleFes2015 ベスト4
Japan Freestyle Football Championships2016 ベスト8
F4-2016 関西大会 優勝
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